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佐藤夫妻

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水俣病は、多くの人の人生を不幸にしました。水俣湾に水銀を垂れ流したチッソ工場のせいで、たくさんの方々が亡くなりました。私達と同年代の胎児性患者の人たちも、チッソが水銀を海に流していなければ、健康な皆様と同じ、生活、仕事、結婚をしていたはずなのに、チッソ工場のせいで人生をめちゃめちゃにされてしまったことは、どんなにあやまってもらっても、許されることではありません。体の不自由さや、心の苦しみ、痛みは、一生消えるものではないのです。

今現在も、被害は増えています。40代、50代の人達の水俣病被害が、とても心配です。年をとるにつれ、病状がひどくなってきているからです。これから先、自分の体が心配で、不安で、申請をする人が増えています。現在、大阪最高裁判所の判決以降、約4千人近くの人達が申請しています。こんなにたくさんの人達が、今も苦しんでつらい思いをしながら、毎日を生きているのです。国は、まだたくさんの被害者がいるとわかっているのに知らんぷりです。助けようともしません。何の対策もしてくれません。審査会も開かないままです。被害者を救済する気は、全然見受けられません。私たち被害者を何と思っているのでしょうか? それを思うととても腹が立ちます。自分の国が情けないです。国はやさしい心を持った国民を助ける国だとばかり思って信じてきましたが、水俣病患者に対しても、とてもひどい冷たい態度です。被害にあった者を助けてやろうと思う気持ちは、全然ありません。とても悲しいです。国は、国民に対してこのような冷たい態度でいいのでしょうか? 私たちは、国の考えは絶対間違っていると思います。被害者の納得のいく方法で救済してやるのが、国の責任であり任務だと思います。これは私達被害者の強い希望です。

私達は、水俣病のせいで体が病気になり、年々病状がひどくなってきていますが、痛い体を毎日がまんしながら生活している状態です。本当に、先がとても不安になります。これから先、自分の体はどうなるんだろうと思うと、恐くなる時があります。私達は、生活のため、家族のため、痛い体をひきずりながら、毎日つらい悲しい思いをしながら、一生懸命生きています。国は、自分の家族が水俣病で苦しんでいたらどうするでしょうか? きっとすぐに対策をとり、助けてあげると思います。他人のことだからどうでもいいのでしょうか? 私達は、このままじゃとても納得いきません。国と戦っていくつもりです。絶対負けるわけにはいきません。

国とチッソは、自分たちの過ちを認めてしっかり被害者に一生懸命償って、被害者の納得のいく方法を取って頂きたいと思っています。それがだめなら、裁判をして戦うつもりです。その時は、全国の皆様のご支援ご協力を宜しくお願い致します。

平成18年
佐藤英樹(51才)
佐藤スミエ(50才)